猫につく寄生虫はたくんあります。猫ちゃんにつくダニもいます。
今日は「ダニ」について特集してみました。
目次
猫につくダニの種類と原因
マダニ
通常2mmか3mmの小さなダニですが、吸血すると体重は100倍以上になり、大きく膨れた小豆のようになります。野良仕事などの帰りや犬の散歩の後などについてくることがあります。私も吸血後のマダニの現物を見たことがありますが、血豆かと思いました。
以前はそれほど知られていませんでしたが、最近動物病院にポスターが貼ってあったりニュースになったりしたのでご存知の方もおられるかもしれません。とても怖い病気を媒介します。
草むらなどからマダニをつけてくることが原因です。
ヒゼンダニ
とても小さなダニで、人間の目では見えません。
「猫小穿孔ヒゼンダニ」が体に寄生すると「疥癬」という皮膚病を起こします。猫ちゃんはかゆくて体をかきむしります。
「ミミヒゼンダニ」は耳ダニ症を起こし、黒い耳あかが大量にたまります。野良猫を保護すると大抵耳が黒いですが、それがこの耳ダニ症です。
ヒゼンダニに感染した猫や犬と接触することが原因です。
ツメダニ
とても小さなダニで、「猫のツメ」とは関係なく、ダニ自体がツメを持っているのでこの名があります。フケやかさぶた、湿疹などができます。若い猫ほどかかりやすいようです。
同じくツメダニに感染した動物に接触したことが原因です。
猫にダニがついた時の症状は~マダニの場合
マダニの口はノコギリのようになっていて、皮膚を食い破って頭を潜り込ませて血を吸います。唾液で免疫反応が起こり、マダニに噛まれるととてもかゆがります。マダニは大きいのですぐにわかります。
あわてて取ろうとしても無理です。必ず獣医師にみせてください。
マダニが媒介する病気は以下です。
【猫の場合】
「バベシア症」
多くの場合は犬がかかりますが、猫でもまれにかかります。
「ヘモプラズマ症」
ヘモプラズマという小さな寄生虫がダニの口から体内に入り、猫の赤血球に取り付いてひどい貧血を起こします。特に猫免疫不全ウイルス感染症や猫白血病ウイルスに感染していると重症化して命に関わります。
投薬治療や輸血を行います。
【人間の場合】
「Q熱」
コクシエラ菌を持ったダニに噛まれたり、ダニのフンが乾燥したものを吸い込んだりして感染します。
半数は感染しても発病しませんが、半数は急な高熱、筋肉痛、頭痛などを起こし、一部が肺炎や肝炎を起こします。慢性Q熱に移行すると亡くなってしまう例もあります。
「日本紅斑熱」
日本紅斑熱リケッチアがマダニに感染し、媒介者となって人に吸血した時に感染します。
かゆみのない発疹や発熱から始まります。1984年に徳島県で発見された新しい感染症です。
「ライム病」
ノネズミなどからダニを介して菌が移ります。インフルエンザに似た症状から始まり、様々な症状が出る恐ろしい病気です。
「ダニ媒介性脳炎」
ダニ媒介性脳炎ウイルスが原因です。海外ではワクチンによる予防が可能ですが、日本では認可されていません。
発症した場合、治療法はありません。
「重症熱性血小板現象症候群」
2013年になって感染報告が相次いでいます。動物病院にもマダニの写真とともにポスターで警告されています。発熱や消化器症状、神経症状などを起こし、致死率は1割から3割と高いです。日本でも亡くなった例が報告されています。
猫にダニがついた時の症状は~ヒゼンダニの場合
カサブタができ、剥がれて脱毛したり、シワができます。
猫小穿孔ヒゼンダニはマダニと違い、角質層に穴を掘ってもぐってしまいます。皮膚の中にトンネルを掘り、そこで食事をして糞をして産卵します。猫ちゃんの免疫細胞はダニや分泌物に反応してひどいかゆみを引き起こします。猫の病気の中では最大限のかゆみだと言われます。
人間にもうつりますので、自宅でお風呂に入れたりせずに、すぐに獣医師へ見せてください。
耳ヒゼンダニも0.3mmととても小さなダニで、耳の中の皮膚に寄生します。猫はとても痒がり、頭を振ったり耳を後足で掻いたりします。耳の穴に小さな黒い粒がみえたら、耳ヒゼンダニがいるかもしれません。
ひどくなると外耳炎となり、大量の黒い耳あかが出てきます。
多頭飼いなどでも簡単にうつるため、兄弟で保護された捨て猫などはほぼ全員ダニがいると考えてください。
猫にダニがついた時の症状は~ツメダニの場合
大量のフケが出ます。背中に少しフケが出る程度から、全身に広がり激しいかゆみを伴うものまでさまざまです。
人にもうつりますが、ツメダニは人の皮膚では繁殖できません。大量のフケを見つけたら、獣医師さんにツメダニの有無を調べてもらってください。
徹底的に治療しよう! 猫ダニの駆除法
怖い病気を媒介するダニ。見た目にも気持ちが悪いですし、なんとか徹底的に駆除したいですね。
獣医師さんはどのような治療をするのでしょうか。
マダニの場合
まず、がっちりと皮膚に食い込んで大きくなったマダニを私たちが取ることはできません。無理に取ると悲惨なことになりますので、必ず獣医師さんに処置を頼んでください。
ダニの口器を取り残さないように作られた特殊なピンセットで慎重に除去します。薬剤を使用して取ることもあります。
次にフロントラインなどのスポットタイプやスプレータイプの薬剤で駆除します。1カ月有効です。
飲み薬を使うこともあります。
貧血の症状があるときは貧血の治療もします。
猫小穿孔ヒゼンダニの場合
薬浴をします。硫黄化石灰という農薬の入ったお湯で、症状がなくなるまで最大2カ月続けます。古くからある薬で、ダニなどに効きます。
このダニは皮膚に穴を開けて潜んでいるので、角質を溶かしダニに効く薬剤が必要です。
次にセルメクチンを含んだ薬剤(レボリューションが代表的)でダニの駆除をします。細菌の二次感染があれば抗生物質の投与を行います。
イベルメクチン(アイボメック)を使うこともありますが、生後半年未満の子猫には使いません。
耳ダニの場合
耳の中を洗浄してダニを取り除いてから抗生剤を塗ります。掻き傷ができていることもあるので、傷の処置もします。
多頭飼いしている場合は全員処置をしてもらってください。ピンポン感染していつまでも治りません。
ツメダニの場合
これもセルメクチンがとても有効です。猫用シャンプーで体を洗い、ダニの駆除にはピレスリンの粉剤を体に散布します。
ツメダニを殺す注射を数回行います。
現在ではノミダニ駆除薬として以下のような薬がよく使われています。
プロードライン
2015年に発売されたばかりの新しい薬で、フロントラインの発売元から出ています。
フロントラインのさらに強力なタイプで、外部寄生虫、内部寄生虫にも有効です。
フロントラインプラス
ノミやマダニの成虫・卵・幼虫・サナギにも有効です。
フロントライン
ノミやマダニの成虫に有効です。
レボリューション
ノミ・回虫・ミミヒゼンダニの成虫・卵・幼虫の駆除、フィラリアの予防までできます。
ストロングホールド
レボリューションのジェネリックで、効果は同じです。
マイフリーガードα
フロントラインプラスのジェネリックで、効果は同じです。
マイフリーガード
フロントラインのジェネリックで、効果は同じです。
動物病院で処方されるものは皮膚病の治療などにも使われる薬用殺菌シャンプーなので別物です。
ダニがつかないようにするにはどうしたらいい?
ダニは家の中なら必ずいます。新築の家でも同じです。
ダニを徹底的に排除することはできませんが、減らすことで猫ちゃんと飼い主さんの健康を守ることはできます。徹底的に掃除機をかけ、すべての敷物は洗います。
長毛種の猫ちゃんは可哀想ですが、毛を刈ることで殺虫剤の成分が行き渡り、また、被毛に絡み付いていたダニの卵も除去することができます。
ダニは猫の体から離れると数日しか生きられません。ベッドや布団、ケージ、床、首輪、愛用の毛布などを掃除します。
多頭飼いの場合は同時に治療したほうがいいでしょう。また、疥癬が完治するまでは別の部屋に隔離したほうがいいですね。完全にダニをゼロにすることはできないので、増やさない、持ち込まないことが大切です。
家猫だからダニはつかない?
猫ちゃんを外飼いしている場合は必ずノミやダニをもらってきていると考えてください。人間からもうつりますので、野良猫などに触れた場合は必ずシャワーを浴びるなどしてから家猫ちゃんに触ってください。
また、日頃から猫ちゃんの様子を観察してください。
- 痒がっていないか
- 耳の中はきれいか
- 肌がカサカサしていないか
- フケはないか
注意してあげることで早期発見につながります。
実は、我が家の子猫たちに最近ノミが発見されました。両方拾われてすぐに虫下しなどをしたのですが、2匹とも野良猫の両親から生まれた子猫たちで、発見されたときは例に漏れずひどい状態でした。
今はブロードラインで様子を見ていますが、この子たちは保護してから一度も外には出ていません。
ノミやダニは家の中にいるのですね。ゾッとして掃除機をかけ洗濯をしました。先代猫がひどい貧血で亡くなっているので、ヘモプラズマも媒介するノミやダニには絶対にかからせたくありません。これからも通院して完全駆除するつもりです。
ノミとダニだらけで一人ぼっちでないていた2匹が家猫になって暖かい寝床で幸せそうに寝ているのを見ていると、とても幸せです。
病気はひどくなってからの治療よりも予防が大切です。家猫だからこそ、飼い主さんが気をつけて見てあげることで猫ちゃんの寿命も延びてきたのですね。
まとめ
- 猫につくのはマダニ・ヒゼンダニ・ツメダニが代表的
- ダニに噛まれるととても痒がり、怖い病気を媒介する
- ダニを発見したらすぐに病院で適切な治療を
- 掃除でダニを退治しよう
- 家猫でもダニはつく
いかがでしたか?
ダニは2万種もいると言われています。すべてが吸血性ではありませんが、高地から水中、乾燥地や湿地など場所を問わず、猫ちゃんの体内にもいます。
ダニについてはとてもいい薬が開発されています。見つけたら即、駆除してあげましょう。

MORO
